バサレウス
サイドチャプター EX · 37 items
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解読・《バサレウス》イースター・エッグ
Unlock conditionCondition: +ERABY+E CONNEC+10NAT · 1
宇外三号実験室 朝 中
ジノは衛星につないだ。UIに表示された数値はどれも正常な値だった。
ジノ:(ヘルメットを外して)見たけどやっぱりサンプルの問題だったよ。サンプリングを入れ替えるのは難しくないけど、調整に時間が必要かな。そうだ、ゆうくんはどう考えてるんだ?
遊星:僕ですか?
彼はペン回しをやめてこう言った。
遊星:もしかしたら、私たちは未来で人間と機械、もしくは人間同士を直接つなげる公式を見つけられるかもしれない。
Hint:新たなレベル-S.A.T.E.L.L.I.T.E. AT が解禁されました。同楽曲のIN難易度を920000以上のスコアでクリアすると遊べるようになります。
メビウスからの返事
Unlock conditionScore ≥ 880,000 on S.A.T.E.L.L.I.T.E. AT
テストメンバー 鳩へ:
前回の会話で私たちは衛星墜落の件において、あなたが史実を過度に参考した疑いがあると言いました。あなたもここにおける衛星に他意はないと説明されましたし、テンホースに関することは既に消されており、視聴される方々が両者を結びつける可能性は限りなく小さいとわかっております。しかし弊社は異想汚染が拡大する可能性を懸念し、あなたの記憶のバックアップを出版するかについては保守的な考えを取っております。
また、創世円盤のベータテストについてですが、あなたの申請は承認されました。亜空間《バサレウス》はこのメッセージと共にあなたのPhigrOSに登録されます。現在採用されている初期設定はスチームワールド-反科学-メカアクションであり、速やかに世界観の補完をお願いいたします。付け加えますが、弊社社員のジノはあなたが彼をメカのモデルにしていることに反対しております。もし可能であれば、《バサレウス》におけるキャラクターデザインを改めていただけると幸いです。
PS:あなたの行為は法律に触れていないため、人間の男性をモデルとしたメカも個人的にはアリだと考えております。
メビウス工房 カガミ
《バサレウス》脚本・序
序
二十一世紀半ば、宇宙探索という欲望が再び人々の中で燃え上がった。
熱狂する人々はネット上で熱弁を繰り返している。少年ジノはパソコンの前に座り、モニター上で移り変わるニュースのタイトルを見つめていた。
「光速突破に成功、第四次産業革命の到来か」
「地球と瓜二つの惑星、人類の新たな居住地を発見」
「世界産業大会開幕、テーマ『宇宙へ』」
「先遣隊結成、5つの地球型惑星を開拓予定」
「産業の奇跡!画期的な発明——蒸気エンジン」
ニュースで大きく出されたスチームのロゴはだんだん浅く、やがて刻印となり、工場で製造途中のエンジンに映写される。
ラインの処理を経て、「スチーム」型エンジンはタグをつけられ包装されて、各造船所へと輸送される。
飛行船はエンジンを搭載して起動し、轟きと蒸気を発しながら第三宇宙速度を超え、深宇宙へと飛び立つ。
その貨物庫で、一対の金属質のキツネの目がきらりと光り出す。
宇宙の奥底で銀河が煌めいている。黒い布が放り出され、銀河の煌めきを遮ろうとするも人々の目を遮ることしかできず、偽りの暗闇を作り出した。その暗闇の中で、タイトルが浮かび上がる:
バサレウス
……
《バサレウス》脚本・一
1 宇宙埠頭 宇宙 室内 過去
新式の宇宙服を着た先遣隊員たちは宇宙埠頭に集結し、家族に別れを告げて輸送船に乗り込んでいく。
少年ジノは少し心ならずも母にキスをして、自分で作った別れのプレゼントを渡した。それは部隊の紋章に似たハスのヘアピン、透明のやわらかいゴム製で冴えた光をほのかに発している。
母は嬉しそうにそれをつけると、少年ジノの頭を撫でた。離れ離れになると思うと少し悲しくなってくる。
母:私がいない間は父さんの言うことをちゃんと聞くんだよ。
少年ジノ:いつ帰ってくるの?
母:予定通りだと十年後かな。
少年ジノ:もし、戻ってこれなかったら...エンジンはまだ完成形じゃないってニュースが——
母:大丈夫よ、心配しないで。
少年は堪えず涙をこぼした。それを見た母は優しく我が子の涙を拭った。
母:それでも戻ってこなかったら、探しに来て、ね。
2 九仙通り某所屋上 雨の夜 外
カメリアの上空には無数の無人機が飛び回って巡察している。ここの夜はどこよりも暗く、星の光が全く見えない。見えるのは衛星が常時点灯している赤い光だけ。
半分人間、半分機械の女の子——鳩は屋根の上に座って人工衛星に照らされた夜空を見上げている。首につけているハスの飾りは彼女の対となる金色の目と共に、無人機が放つ光を反射してキラキラしている。
屋根の下に立っている何道人は呑気に持っているシーシャを一口吸って、煙を吐き出した。
何道人:奴らに見つかったよ。
鳩:じゃあ、行こっか。
3 大学の歩道 朝 外 過去
ジノは自転車で宇外ビルに向かっている。少し前に自分たちの研究プロジェクトに新たな進展があったという報告を受け、一刻も早く現場に着きたいと懸命にペダルを漕いでいる。
4 宇外三号実験室 朝 室内 過去
実験室の中、雑な配線で繋がれた十数台のパソコンとたくさんの観測モニターがテーブルに並べられている、研究員たちも各々自分の役割を果たすべく忙しい模様。実験台の前に座り操作を担当している女子学生は脳波ヘルメットを外した。彼女の手伝いをしている男子学生が手に持っているデータパッド、その一番上にはプロジェクトの名前が書かれている:「人の脳と衛星の同調システム開発」。
男子学生はデータパットを確認すると首を横に振った。女子学生はヘルメットを差し出して次の実験者を呼ばせようとしたとき、汗まみれのジノが実験室に突入してきた。
男子学生:ジノ、やっと来たか!
ジノ:進展はどうだ?
女子学生:(席を譲って)繋がったのはいいけど、いまいち理想的な効果を出せないのよね。応答率が20%未満になっている。
ジノ:意識サンプルの問題かもしれない、ちょっとやってみる。
ジノはヘルメットを被って、暗闇の世界に入る。\
《バサレウス》脚本・二
5 衛星 宇宙 外
低軌道に漂う衛星、その後ろに隠れている主体がゆっくりと形を変えていく。地球方面に向けたカメラが軽く回転し、魚眼レンズで見た市長室の様子が映る。
6 市長室 夜 室内
一面が大きな窓になっている高層オフィス、権力を握る者はハスの模様がある万年筆を手に握り、自分の領土を俯瞰している。無数の無人機によって編み出された蜘蛛の巣はカメリア全域を監視し続けている。彼から数メートル離れた位置にひとり、おとなしそうも逞しい体を持つ、まさに軍人の姿をしている部下が立っている。
二コラ:見つかりました。
遊星:彼女はどこにいる。
二コラ:九仙通り、具体的な位置はまだ掴めていません。先ほど、監視システムが突然壊れてしまいまして。
游星:壊れた?君は単純すぎる。
7 衛星 宇宙 外
カメラの位置が元に戻り、衛星はスリープモードに戻った。まるで何もなかったように。
8 秘密実験室 朝 室内
ジノは衛星につないだ。UIに表示された数値はどれも正常な値だった。
ジノ:よし、やっぱりサンプルの問題だったよ。
ヘルメットを外すと、知らない研究員たちがそこに立っていた。見たことのない設備、未来の地球にはないスチームパンクのスタイル、状況をつかめないままジノが見えたのは、椅子から立ち上がるひとりの逞しい軍人だった。
二コラ:ということは、ジャミングを除去できたな。
ジノ:まあ...多分?
ジノは戸惑っている、まだ何が何だかわからないのだ。二コラの隣に立っている女性の副官は手に持っているタブレットを二コラに見せた。
副官:上官殿。
二コラ:よし、出発しよう。(間を開けて)ユーエも一緒に来てくれ。
ジノは相変わらずぼうっとしたままだ。武装した兵士たちは研究者たちが持っている設備を受け取って動き出す、その中の二人の兵士がジノを一緒に連れて行った。
《バサレウス》脚本・三
9 実験室の廊下 朝 室内
ジノ:(足掻きながら)離せ、自分で歩ける!離せって!
兵士たちはジノを離しても、その後ろをぴったりとつけている。その巨躯による圧迫感でジノは冷汗が止まらなかった。
ジノ:あの、俺は別にいいだろ、行っても何もできないし。
二コラ:君には設備の正常な稼働を維持する役目がある。
副官:おそらく怖がっているのでしょう。
女の人は振り向いた。
副官:私たちが知らないとでも思っているの?実験体を逃がしたのはあなただよね?
10 実験室の廊下 夜 室内 追憶
真っ白の廊下がビル全体を貫いている。その両側には綺麗に並んでいる実験室のドア、行き止まりにはカメラが設置されている。
ブリーフケースを手に取ってオフィスを後にした「ジノ」は、一人の若い研究員に呼び止められた。
研究員A:ユーエ主任!お待ちを!
ユーエ:A組の実験が終わったのか?
研究員A:はい。あなたの言う通りにやってみたらうまくいきました。(厚みのある書類を出して)これがデータです。
ユーエ:ちょっと見せて。
紙に記録されているデータはどれも正常な値だったが、ある干渉項の分散の値だけがユーエの予測を上回った。彼は少し考え込んでその原因を探ろうとしたが、カメラの方から伝わってきた巨大な爆音が彼の思考を遮った。
ユーエの頭上にある監視カメラに画面が切り替わると、壁が崩れていくと同時に巨大な機械——バサレウスの足部が動き出した。二人はその揺れで地に倒れた。
ユーエ:バサレウスが暴走した、早く逃げろ!
11 実験室の廊下 朝 室内
ジノの脳内に、誰かの記憶が入り込んだ。
ジノ:あれはただの事故だ。
副官:事故かどうかはともかく、ユーエ、二度とあんな真似をしないように。
ジノ:そんなことができるように見えるか?
副官:でなければわざわざ忠告しないわよ。
《バサレウス》脚本・四
12 防衛軍乗り物庫 朝 室内
ジノたちは歩道橋の上を歩いている。左側には都市防衛軍の極めて広い昇降ポートがあり、数十台の金魚型飛行装置が空中の軌道に乗っている。地上の車も多く、百人近くの作業員が各々の仕事をこなしている。そして右側にはほとんど閉められているたくさんの格納庫、その奥から二番目のシャッターは布に覆われ、四つの角が全部ロックされている。布の真ん中に、白色ペンキで描かれた巨大ならせん模様のキツネの目が見える。
ジノ:あれは?
副官:いいマークだよね。
二コラは何も喋らず、ただただ足を速めた。
13 金魚型飛行装置 朝 室内
まるで十九世紀のファンタジー小説の中から出てきた乗り物のようだ。見かけは水蒸気を延々と放っているエンジンで駆動しているが、燃料らしきものを中央の燃焼炉に添加する必要はないみたい。これは彼の時代ではまだ未熟な技術であった蒸気エンジンだとジノは分かった。蒸気エンジンが放つ蒸気は大気の乱れとイオン化によるものであり、熱エネルギーを無駄にしているわけではない。なぜ動力システムが操縦室と繋がっているような設計ができたのもこれで説明がつく。
ジノ:古臭いシステムだね。
二コラ:改良案があるなら開発部に行ってみたらどうだ?
ジノはおとなしく黙った、状況を理解する前にできるだけ揉め事は避けたい。窓の外を見ると、巨大な金魚が空に浮かんで雲に潜り、街の上空を自由に泳いでいる。
副官:長官殿、九仙通りに着きました。
ジノ:賑やかだな。
副官:忘れたのか、あなたはここの出身よ。偶然が過ぎないか、主任?
ジノ:いや、だからそれは違う——
二コラ:何景、そこまでだ。
厳しい口調だった。それを聞いた副官も自分の発言は度が過ぎたと分かって黙り込んだ。
二コラ:行動開始。
《バサレウス》脚本・五
14 九仙通り歩道 朝 外
紅灯祭を迎え、道の両側に無数の灯篭が飾られている。多種多様な屋台が煙をたて、露店からは人々の談笑する声が聞こえ、街全体が生き生きとしている。
子供は母から買ったばかりの餅を受け取って、ふーふーと息を吹いて冷ましている。その白い熱気がなす天真な世界に、排気と不気味な鳴き声を出しながら飛行している金魚が突然入り込んできた。
子供甲:母さん、あれはなに?
母甲:防衛軍が来たわ。早く逃げるわよ!
子供甲:え、でもまだ餅が!
若い母親は子供の手を取って通りの外へと走る。後ろの建物群は砲弾とレイザーの攻撃によってどんどん崩れていく。飛行船は頭上を通り、尾翼でかき乱した大気とエンジンの轟きを残して飛んでいく。子供は振り返る勇気もなく、奔走する人の群れが出す狂気な叫び声を聞きながら、ただ俯いて泣くしかない。
赤い灯篭、燭光の如く漆黒な心路を照らす。よろめく児童が振り返り、身を揺らす金魚を目にする。魑魅魍魎を引き出し、眩しく輝くそれはまるで鎮座する金の像の如し。然れども巨物の林立は幻でしかない。一人の娘が漆黒を打ち砕き、光を人界に連れ戻す。児童はその姿を見つめるが、母に抱かれてこの地を離れ、その娘のみを残した。
《バサレウス》脚本・六
15 九仙通り歩道廃墟 朝 外
蒸気と埃が編み出す灰色の世界。金魚型の飛行装置から2列の機械兵士が降りてくる、その後ろには指揮者と機材を運搬している一般兵士たち。白衣を身に纏う若者は女の副官に向かって叫んでいる。
ジノ:気が狂ったのか!座標はここじゃないだろ!住民区への攻撃は重罪だぞ!
副官:鬼ごっこに付き合うほど暇ではないのよ。
副官:ほら、出てきたわよ。
粉塵の煙から一人の女の子が飛び出る。その高く掲げている機械の腕が青く光り、二コラ将軍に狙いを定めた。
副官:司令官を守れ!
兵士たちが娘の進路を塞ぎ、彼女を挟み込むような形で攻撃を繰り出す。それを読んでいる娘は身を交わし、両足で勢いよく兵士たちに蹴りつける。陣形が乱れ、道は切り開かれた。
二コラ——最後の砦となった彼だが、娘がいくら攻撃しても全く動じる様子を見せない。
二コラ:また強くなったな、妹弟子よ。
鳩:よくもやってくれたね。
昔の仲を重んじて、二人に激しいぶつかり合いをする意思はなかった。鳩は胸を押さえながら後ろに退いた。二コラは想像したよりも強く、おそらく計画を変更する必要がある。半メートルほど離れた場所に埃に埋もれたナイフがある、鳩はそれを見て何か思いついたようだ。
二コラ:逃げて隠れたりしなかったら、他の人を巻き込まずに済んだのにな。
鳩:素直に悪人のために働けとでも?
鳩は足でナイフを二コラに向けて蹴り、そして距離を詰めて二コラの胸に力強い拳を当てた。二コラは何とか暗器を交わしたものの、妹弟子からの不意打ちをくらって後ずさった。鳩はさらなる追い打ちをかけ、砂埃によって二人の姿が匿られる。
二コラ:もちろん、心臓を差し出すというのも一つの選択肢だ!
鳩:ふざけるな——
副官:上官殿!
副官が乱戦に割り込んだ。隣で見ていたばかりのジノはこれは逃げるチャンスだと気づき、素早くヘルメットとブリーフケースを手に取って右側の住民区へと走っていった。
《バサレウス》脚本・七
16 九仙通り路地 昼 外
湿った路地、空中に架けられた物干し以外何もなく寂しい雰囲気が漂う。ジノは周りに人がいないことを確認して足を止め、膝に手をつきながら大きく呼吸を繰り返した。
ジノ:まったく狂ったやつらだ。
自分の両手を見下ろして確かめる。見慣れない手、右の手のひらに知らない傷跡、そして研究員にふさわしくない腕の筋肉。謎の記憶のフラッシュバックも足し合わせて、ジノは一つの結論にたどり着いた。
ジノ:これは...タイムトラベル?それとも誰かと入れ替わった?いや、この感覚は——
状況の整理はまだできていないが、二コラに追われている娘が突然目の前に現れた。ジノは目を見張り、娘も素早く警戒態勢を取った。白いハスの首飾りがひらりと揺れる。
ジノ:落ち着け、こっちもワケありなんだ!
鳩:あんたのことは知っている。
娘がジノに近づいてくる、やっとその顔がはっきり見えた。
17 バサレウス操縦席 夜 室内 追憶
曖昧とした記憶の中に現れたのは、飛行服姿で泣きながら何かを言っている少女。ジノにはそれが祈りの言葉だとわかった。
18 九仙通り路地 昼 外
鳩:あんたはユーエじゃない。
ジノ:わかるのか。
鳩は空を指さした。ジノが頭をあげると、そこには人工衛星が出す赤い光しかなかった。その理解していない様子を見て、鳩は次にジノが持っているブリーフケースを指した。
鳩:バサレウスが教えてくれた。
ジノ:あの機械装甲が?それはどうやって...
鳩:衛星は、私たちと繋がっている。
ジノ:そんなバカな——
言葉が詰まった。娘の右腕と左足の義肢が見えた、そして二コラの話が脳内に蘇る。
19 九仙通り歩道廃墟 朝 外 追憶
劣勢の中、鳩は機械の腕で激しく起伏している胸元を抑えた。その皮膚には、白い靄みたいなものがかかっている。
《バサレウス》脚本・八
20 九仙通り路地 昼 外
ジノ:お前の心臓は、蒸気エンジンなのか?
鳩:うん。
ジノ:...全く不思議だ。
揃った足音が聞こえた、おそらく一部隊の兵士がここに近づいている。鳩はジノを引き寄せて最後の言葉を伝える。
鳩:今はこれを話している場合じゃない。あの方向を、突き当りまで行って。迎えてくれる人がそこにいる。
21 テストコース 昼 外 追憶
白いワンピースの女の子が昇降台の上に立って、カメラの向こう側に挨拶をしている。
鳩:こんにちは、バサレウス。私の名前は鳩。
22 九仙通り路地 昼 外
言葉だけを残して離れていく娘を見て、ジノは思わず呼び止めた。
ジノ:鳩!
ジノ:また後で。
鳩は振り返って微笑んだ。そして右腕の装置を起動して、敵が来る方向へと向う。
23 九仙通り歩道廃墟 昼 外
衛生兵に傷の手当てをしてもらっている二コラのところに、あたりを駆け回った副官が戻ってきた。
副官:見つけられませんでした。
二コラ:彼の家は探ったのか。
副官:誰もいませんでした。まさか……
二コラ:彼が裏切ることはない。
副官はこれ以上喋ることがなかった。いくら疑っても、上官の信頼には叶わないことだ。
二コラ:鳩には協力者がいる、その人たちがどさくさに紛れてユーエをさらったんだ。兵を出せ、まだそう遠くには行っていないはずだ。
二コラにも自分の判断は正しいかどうかがわからない。ただただ焦る気持ちを抑えて、考え込むしかなかった。
《バサレウス》脚本・九
24 紅灯祭の九仙通り歩道 夜 外 追憶
十年前の紅灯祭の夜、仮面をかぶった大道芸人たちは街を賑やかしていた。
内城からこっそり抜け出してきた鳩は、行列の中でも一段と目立つキツネの仮面を被ったピエロを見つめた——彼女はその人物に心当たりがあるが、自信がなかった。ピエロは鳩の目線に気づくと機械の関節を動かして滑稽に踊りながら、不気味な姿勢で鳩の前に立った。そしてまた、動き出す。
手に持つタンバリンが、その両足の動きに合わせて音を奏でる。その様子を見た子供たちはげらげらと笑った。やがてピエロは手のひらを広げて鳩に何かを見せようとしたが、鳩が顔を近づけるとまたその手を引っ込んだ。このようなことが三回繰り返し、鳩がうんざりしてきた頃にピエロはようやくその手をしっかり広げた。そこにあったのは、氷のような透き通る色をした小さな金属製のハスだった。
ピエロはこれを鳩につけてあげた。鳩は数秒間この銀色に光る飾りを見つめ、何かありそうな気がして頭をあげたが、そこにはすでにピエロはいなかった。
ただ後ろから何かしら争っている声が聞こえた。
25 九仙通り歩道裏の路地 夜 外 追憶
喧嘩をしている母と息子がいた。
ユーエ母:内城に行きたければさっさと行けば?
母は息子の荷物をあれもこれも全部家の外へと放り出し、時にそれらを足で蹴った。ロックが緩んで開いたケースの中にはいろんな電子機器が入っていた。息子はケースの前でしゃがんで、それらが壊れていないかを確認していた。
ユーエ:何すんだよ!これらめちゃくちゃ高かったぞ!
ユーエ母:そんなこと知らないわ、壊れたら上司にまた買ってもらえばいいじゃない。
ユーエ:ふざけんなよ!もう俺一人で行くよ!あんたはここで老いぼれてりゃいいんだよ、アホ!
ユーエ母:母親に敬意を払う気は微塵もないかしら?まったく、こんな息子に育てた覚えなんてないわよ!
たくさんの人が声を聞きつけて様子を見に来た。中には観光客もいる、鳩もその一人であった。ユーエは恥ずかしさを堪えず、荷物を持ってここを離れようとした。彼が人の群れを抜けて灯篭が飾られた歩道に帰っていく様子を鳩はしっかりと見ていた。彼の眼角にはあざができていた、そして置いて行かれた母はまだ彼の悪口を言っていた。
ユーエ母:この恩知らずが!出ていくなら二度と戻ってこないで!父さんがどうやって死んだかを忘れたのかしら?それを無駄にして、知らない人の手助けして地元の人たちをいじめて来るなんて。こんな息子なんていらないわ!
《バサレウス》脚本・十
26 九仙通りのとある倉庫 昼 室内
蓮渡は斧を手に持って目も前の男を観察していた。ジノは何歩か後ずさったが、逃げ場はもうないようだ。
27 九仙通り二番路地 昼 外 追憶
鳩の言葉に従ったジノは例の場所に着いたが、彼を待っていたのは何人かの不良だった。
28 九仙通りのとある倉庫 昼 室内
蓮渡:人が来るとは聞いていたが、お前だったとはな。
ジノ:こっちだって全くの予想外だ。
29 紅灯祭の九仙通り歩道 夜 外 追憶
母と絶交し、重い気持ちを引きずっているユーエは蓮渡に遭ってしまった。
蓮渡:なぜ遊星の手助けをした?十年前、あいつらがお前の父にどんな目に遭わせたか忘れたのか?
ユーエ:失せろ。
蓮渡:ユーエ、これ以上間違った道を行くな!
ユーエ:お前に教育される義理はないさ!
ユーエは蓮渡に一発拳をくらわせた。
30 九仙通りのとある倉庫 昼 室内
ジノ:俺はお前が知っているあの人じゃないんだ。
蓮渡は距離を詰めて、瞬く間にその右手を掴んだ。その手のひらの傷があらわになる。
蓮渡:これは、お前が俺を庇うために受けた一撃だ。
ジノ:そ、そうなのか。
蓮渡:お前が相手から刀を取り上げた時、一生ついていくと心の中で誓ったんだ。しかしよ、どうなったと思う?
ジノ:どう、なったんだ……?
蓮渡:お前は俺を襲ってきたやつにこう言ったんだ、「俺にやらせろ」と。ユーエよ、お前はマジでクソだぞ!
不良はますます手を握り締めた。ジノにはわかる、この人は彼ではなく、そのユーエに向かって怒っているのだ。ユーエは一体何をしてここまで嫌われているんだろうか。
ジノ:まあ落ち着け。そうだ、証明してくれる人がいるんだ。鳩、あの機半分人間半分機械の少女——
蓮渡:それって、Zのことか?
《バサレウス》脚本・十一
31 九仙通りの塞城 昼 外
一昔前の香港映画に出てくるような錯綜した塞城の通路、ここに人はいなかった。鳩は遠くからここに駆け寄ってくると、物干しを掴んで五階から四階へ飛んだ。その後ろに兵士たちは一心に彼女を追い、周りの環境を一切視認していなかった。一つ角を曲がると、兵士甲は視界から外れたところに置かれたレーキに頭を打たれ、隊列を乱した。兵士甲は皮が破損した部分を手で押さえたが、隙間から変わった色の液体が溢れ出ている。装甲の内部圧力低下により、彼の呼吸は乱れて心拍数も上がりつつある。
兵士乙:頚部を修復しろ!
兵士丙:こちら丙、負傷者が出ました!
鳩は右の空、動きが少し早くなっている衛星を見上げた。そして耳を立てて、声で敵の分布状況を大体把握した。上の階の部屋に二人の足音、三階の兵士たちは晩御飯について喋っている。二階からは何も聞こえない、おそらく寝ているのでしょう。一階には三人が呑気にカードゲームをしている——どうやら相当仲間たちを信頼しているようだ。
鳩はこの遊びに付き合うつもりはなかった。窓辺に立っておおよそ高さを推定すると、思い切って飛び降りた。四階にいる兵士たちは彼女が飛び降りるところを目撃していた。
四階の兵士:下のもの、あいつが飛び降りたぞ!
三階の兵士:は?どこだ?
二階の兵士:あー?えー!わあああ!
一階の兵士が喋り出す前に、鳩の手は既に彼らに触れていた。素早く足で薙ぎ払うと半分の兵士が倒れ込み、残りの半分は膝と拳を使った総当たりで倒した。戦闘終了。
四階の兵士:こちら捕捉部隊、中継ノードの捕捉に失敗しました。より多くの動員を要請します。
《バサレウス》脚本・十二
32 九仙通りの川辺 昼 外
常に賑やかだった川辺も人がいなくなり、ただ一人ゴーグルをつけた老人を残した。アンダーシャツにハーフパンツ、持ち込んだ折りたたみ椅子に座って釣竿を手に取っている。
水流に流され漂う浮子が沈む気配は全くなかった。少し離れたところ、軍服を着た女の人が川辺でしゃがみ込んでナイフで苔と水草を薙ぎ取り、小さなガラス缶の中に入れた。副官は立ち上がると老人の方を見て、老人もまた彼女を見た。二人はしばらくの間見つめあっていた。
33 九仙通り上空 昼 外
数十台の金魚型飛行装置は水の中にいるかのように、九仙通りの上空に蒸気を出しながら止まっている。天気は快晴、雲がなくなった空でこの巨物たちはまるで違和感の塊だ。背景にある建物の中に人はなく、それらの窓からはこの金魚たちと見つめあうこともできるだろう。一体この大きな体の中にどんな秘密が秘めているのか、不意にも考えてしまう。
34 金魚型飛行装置 昼 室内
円柱型の水槽の中には一匹の金魚と何個か彫刻された石、そして水草がある。副官は取ってきた浮遊植物を水槽の中に入れてから座席に向かった。
二コラ:塞城から逃げられてしまうと厄介になるな。
副官:と言いますと?
二コラ:蒸気爆発が起きていなかった頃、外城と内城は繋がっていた。その時、地下鉄は人々のメインな交通手段だった。今では地下鉄が廃棄され、それらのトンネルも分派のやつらに占領されて密輸の要地となっている。
彼は政府が保存している地下鉄の経路図を出し、九仙通りあたりを拡大表示した。
二コラ:数百年の更迭を経て、九仙通りの建物群は当初の様子と全く異なっている。地下への具体的な入口がどこにあるか、今となってはその地元の人たちだけが知っているんだ。
副官:Zに協力しているのはあの人たちだとお考えですか。
二コラ:その通り。それに、おそらく防衛軍の中にも内通者がいる。でないと昨夜の事は説明がつかない。
副官はコップを持って歩きながら考え込んだ。その姿がちょうどごはん中の金魚を遮ったとき、彼女は何か言おうとしたが、二コラはすでにその考えを読んでいた。
二コラ:いや、彼ではない。
《バサレウス》脚本・十三
35 紅灯祭の九仙通り歩道 夜 外 追憶
ユーエは蓮渡を押しのけた、そして彼は傍観者である鳩に気づいた。少しして彼の視線は娘の首のあたりに留まった、あの符号は何かの資料で見たことがある。
尤埃:バサレ——
蓮渡:よそ見するんじゃねぇ、まだ片付いてないぞ。
二人はまた殴り合い始めた。
《バサレウス》脚本・十四
36 テストコース 昼 室内 追憶
森林に覆われている山のふもとに高さ20メートル、広さ10メートルの台形のトンネルが開拓されている。
37 テストコース入場路 昼 室内 追憶
白衣を着たユーエの口元にはあざがあった。彼は壁際でタバコを吸いながら二コラが来るのを待っているが、そろそろうんざりしてきた。幸いなことに、軍人は約束を守ってくれた。
ユーエ:手に入れたか?
二コラ:もちろんさ。
彼は白いハスの首飾りを取り出して研究員に投げ渡した。
二コラ:こんなちっぽけなものが、本当にバサレウスのカギなのか?
ユーエ:試せばわかる。
二コラ:早くしてくれ、あの娘が目を覚ます前に返してあげないと。
38 テストコース 昼 外 追憶
二人は非常ドアを押し開けた。囲まれた室外環境に、30メートル長の動物型機械装甲が眠るキツネの如く佇んでいる。それはすでに植物に埋もれて、ここの生態と一体化している。
二コラ:もう十年か、ずいぶん経ったな。
彼は離れた位置でそれを見ている。ユーエは高さ3メートルの機械装甲の上に登り、あっちこっちと操縦席の入口を探っている。しかしバサレウスの装甲は緊密に繋がっていて開けられそうな場所がなかったため、彼はその上に登っているまま質問を投げ出す。
ユーエ:あんたは本当に師匠から聞いてないのか(倒れそうになって何とか踏みとどまる)、これに潜り込む方法をさ。
二コラ:聞いてないさ。バサレウスは歴代市長にのみ操縦権がある、私にそれを知る資格はない。
ユーエ:じゃあ彼はなぜカギを遊蘇音に渡したんだ?
二コラ:だからそれは君の考えすぎだ。
ユーエはそれを聞いてムカついたのか、意のままに首飾りを機械装甲の頭部にたたきつけた。そして奇跡が起きた。二コラは目を見張った、ユーエの言う通りこの白いハスは機械装甲を動かすカギだった。それが機体に触れた瞬間、液体のような物質に溶けて機体へと浸透した。次の瞬間、バサレウスが目を覚まし、キツネの目を開けた。大地を震わせながら、それは両足だけで立てるような構造になってますます人間みたいな姿になった。
機械装甲の関節部から出てくる四肢を踏み台に素早く砂埃を抜けたユーエは、バサレウスが完全直立になる一秒前にその左肩のあたりにたどり着いた。
バサレウスの表面に触れて熱の伝達をたどったユーエは、すぐに包まれている操縦席の入口を見つけた。それは機械装甲の頚部にあった。ユーエは渾身の力を絞り出してそこに向かって登った。
二コラ:ユーエ、危険だ、そこに入るな!
ユーエはもがきながら操縦席のドアを開けて、中に飛び込んだ。
《バサレウス》脚本・十五
39 バサレウス操縦席 昼 室内 追憶
目に入ったのは操縦システムを駆動している小型の蒸気エンジン、そしてその上で浮いている「カギ」。
ユーエは操縦台の前に立ち、機械装甲を操縦しようとした。ここにあるすべての操縦ボタンの用途を彼は知っているし、脳内でも何千回シミュレートしてきた。まずはシステムを起動、そして歩かせ、砲弾を充填させてから物を壊させる。完璧な流れのはずが機械装甲はびくとも動かなかった。バサレウスは彼を拒んでいるのか。
ユーエ:おかしい、なぜ動かない!
ユーエを心配した二コラも操縦席に入ってきた。
二コラ:君にその権限はない。この子は君の言うことを聞かないさ。
ユーエ:そんなバカな、資料に書かれてあった全ての条件を俺は満たしているはずだ!
二コラ:バサレウスを操れる条件については知らないが、遊星家の歴代当主には一つの共通点がある。
ユーエ:どういう意味だ?
二コラ:その人たちは皆、空から来た者だ。
軍人は空に目を向け、ユーエも頭をあげた。そして何かを悟ったのように二コラを見つめたが、頭の中では上空に浮かぶ低軌道のことを思っていた。
40 衛星 宇宙 外
衛星は、宇宙に留まったまま。
41 データ観測室 昼 室内
巨大なスクリーンが映している軌道分析モデルを見ると、衛星は既に元の軌道から大きく外れていることがわかる。それを見た遊星は変だと思った。この周期の中枢はまだ正常に作動しているはずだ、なぜこのような問題が起きたのか。
研究員:市長、衛星から一通のメッセージが来ています。流しますか?
遊星:流して。
スクリーンは録音再生画面を映した。起伏のある周波数が編み出したのは、群れの悲鳴だった。
衛星:おうちに帰る、おうちに帰る、おうちに帰る……
研究員:現段階ではこれはとある古の言語ということしか分かっておりません。今専門家に尋ねて——
遊星:結構だ、これは地球の言葉さ。
相変わらずスクリーンを眺めている彼は言葉にできないような表情をしていた。
遊星:おうちに帰る?幽霊どもも家が恋しいのか。
《バサレウス》脚本・十六
42 九仙通りのとある倉庫 昼 室内
不良たちが物資を運んでいる中、蓮渡はリストをチェックしながらジノを見張っていた。二人は不良たちの通路の上にしゃがみ、蓮渡はリストに書いた数字を何度も見直しているが、ジノは暇すぎて彼に語りかけ続けている。
ジノ:信じられないかもしれないけど、俺の名はジノ、地球で衛星通信関連の研究をしていたんだ。今朝、実験が終わったと思ったらいきなりここに飛ばされたんだ。バサレウスだの実験体だの、そんなの全く分かんないけど、要するに——
蓮渡:話は終わったか?
ジノ:あとワンフレーズ……
蓮渡:いいや、やっぱり続けろ。
ジノ:多分、俺は意識サンプルだ。
蓮渡:なんだと?
ジノ:だっておかしいでしょ、これしか解釈が思いつかないよ。おそらく俺はある種のセキュリティで、君たちの衛星上に俺が作ったプロトタイプの実験データが搭載されていたんだ。そしてそれにはジノの記憶が入っていた。
蓮渡:お前ら、いったん手を止めろ。
蓮渡:お前はユーエじゃない、あいつは決してバサレウスを衛星とは呼ばない。
ジノ:なんで俺はここにいるんだ?
蓮渡:知るか、Zに聞け。ほら、ちょうど戻ったところだ。
見ると倉庫の入口あたりに女の子が立っている。さっきの無駄口は一体どれだけ聞かれていたのだろうか。
鳩:とりあえず車両に乗って。
43 九仙通り地下鉄駅 地下 室内
不良たちは階段を下って物資を車両の中にまで運んだ。そして蓮渡に挨拶をしてから、手を振って別れを告げた。
ジノは鳩の後について先頭車両へと向かった。
44 先頭車両 地下 室内
鳩は慣れた手つきで低い位置にあるスイッチを引っ張ってから、いろんな数値を微調整して至るところの安全ロックが外れているかを確認した。
鳩:地球では蒸気エンジンは使われてるの?
ジノ:地球ではもっと選択肢があるんだ。蒸気エンジンが役立つ場面は少ないかな。
鳩:なるほど、でも結構慣れているように見えるけど。
ジノ:小さい頃に研究したことがあってね。
鳩:そう。
45 車両の中 地下 室内
二人が先頭車両から戻った時、蓮渡はまだそこにいた。何か言い残したことがあるようだ。
蓮渡:あっちに着いて物資を伽竹桃に渡せば、今回の仕事は終わりだ。
鳩:お疲れ様。
蓮渡は最後に、何か不服そうな表情でユーエの方を見た。
《バサレウス》脚本・十七
46 移動中の車両の中 地下 室内
二人は向かい合って座っている。鳩が目を瞑って休んでいる中、ジノはスーツケースからヘルメットを取り出して観察している。このヘルメットは彼が研究時に使用したやつと見た目は違えど、用途は同じだ。しかし起動を試みるも赤い指示灯が点滅しているだけ、どうやらエネルギーがないとヘルメットは使えなさそうだ。
ジノ:どうやってやったんだろう。
鳩:(目を開けて)おそらく、これは兆しだと思う。
ジノ:(ヘルメットをしまって)何の兆しだ?
鳩:墜落。
鳩:明日の朝、バサレウスの中枢部は完全に元の軌道から逸脱してカメリアの内城に衝突する。あんたはバサレウスが最後に射出した意識サンプル。機械は無意味なことをしない、君には特殊な使命があるかもしれない。
ジノ:ならユーエは?俺が彼の体を乗っ取ったけど、彼はどこにいった?
鳩:彼は昨日の夜、ひとりで仕事していた時に心臓の発作を起こして死んだよ。(ヘルメットを指さして)衛星がこれを借りて全てを記録した。
ジノ:(少し考え込んで)君は今、何がしたい?
鳩:どういう意味?
ジノ:参考にしたいんだ。俺は彼じゃないし、彼の身代わりとして生きることはできない。
鳩:私の人生は参考に値しないものよ。でもそうね、今は衛星を元の軌道に戻し、そしてバサレウスを破壊したいかな。
ジノ:あの、物理的に干渉した時点で壊れてしまうかも。
鳩:地に落ちてこなければ何でもいいわ。でも本当にこうするべきかしら、九仙通りの人たちは反対しているの。
ジノ:(間を開けて)やりたいことをやればいいんじゃない?自分の気持ちがまず大事だ、その次に集団のことを考えればいい。
鳩:確かにその通りね。
トンネルを抜けた列車は地上へと上がった。ジノは娘の悲しい瞳に、遥か昔の記憶を重ねた。
《バサレウス》脚本・十八
47 テストコース 昼 外 追憶
風が吹いている。白いワンピースが揺られても、女の子は目の前にある巨大なロボットを仰視していた。その後ろからやってきた研究員も同じく頭をあげ、人類の技術を上回った巨物に敬礼した。
ユーエ:人間はどこで消えても、最後は自分が生まれたところに戻ると聞いたことがある。君の父は、この中にいるのかな。
鳩:わからない。そんな気はしていない。
ユーエ:それは残念だね。
鳩:(振り返って)これがあなたたちの言った、新しい体?
ユーエ:十年間ずっと寝ている植物人間だ、家族が安楽措置を要請した。
離れたところから、白衣を着ている医療関係者が病床を推してこちらに向かってきている。その上で寝ている者は医療設備を頼ってまだ生きている。熱を帯びた胸元も起伏を繰り返し、本当にただ夢を見ているように見える。
48 バサレウス操縦席 昼 室内 追憶
植物人間は操縦席に安置された。瞬く間に、青紫色の波動が操縦席の空間を歪ませた。ユーエは激しい吐き気を感じ、それがてんかん発作を引き起こした。彼の脳はこの波動から受ける影響が極めて大きいようだ。彼は、後任の遊星の記憶を見たかもしれない。
49 謎の実験室 昼 室内 過去
暗い違法実験室の中、とある人が飛び散った液体を拭いていた。彼の視界には緑色の靄がかかっている、どうやらこの実験は相当長い間続いたらしい。その前方、ひとりの正体不明の商人がオフィスデスクの上に座っていた。
遊星:素晴らしい素材だ、どうやって手に入れたんだ?
???:簡単さ、学会に賄賂を送った。一番原始的なやり方だ。
遊星:そうだと思っていた。
手に持っていた手術用具を机の上に置き、彼はロッカーの前に行って手術着を脱いだ。そのロッカーには彼ととある科学者を映った写真が貼ってある、その写真を見た彼はいささか暗い気持ちになった。
遊星:もっとたくさんの意識サンプルが必要だ。
50 バサレウス操縦席 昼 室内 追憶
正気に戻ったユーエは、となりの鳩が心配そうな目でこっちを見ているのに気付いた。
鳩:震えているの?
ユーエ:本当に新しい遊星が必要なのか?
鳩:二コラはそう言っていたよ。
ユーエ:考えてみて、君の父は生前なぜ後任の遊星を嫌っていたのか。きっと何かあるんだ。
女の子は困惑した表情でユーエを見た。
ユーエ:カギだけじゃない、バサレウスの動力源も君に託す必要がある。
鳩:どうすればいいの?
彼は命綱を握るかのように、力強く女の子の両腕を掴んだ。
ユーエ:君の機械製の人工心臓だ!それを蒸気エンジンに変えても、遊星はしばらく気づけないはずだ。
鳩:もし気づかれたら?
ユーエ:その時は逃げてここから離れろ。彼はもう死んだ、君がここに残る必要はない。
《バサレウス》脚本・十九
51 夭夭閣 昼 室内
一匹の鯉が水槽から飛び出て地面に落ちた。それを見た妹キョンシーの寧々は感銘を覚えて鯉を捕まえようとするが、水たまりに踏み入れた途端転んでしまい魚を逃がした。音を聞いて駆け付けてきた姉の安々は状況を見て趣を感じたか、何としても魚を捕まえると心の中で誓った。ただ者ならぬオーラを出して構えている彼女はまず丁寧に魚の動きを観察した。そしてその動きから次に来る位置を推測し、ここぞというタイミングで両手を伸ばした——しかし魚は謎の力によって一瞬にして空に登った。
安々:あれ?
上の方を見ると、なるほど。二階にだらしない姿勢で座っている店主の伽竹桃が釣りをしていたのだ。
寧々:女将さんやめてください!
安々:元々魚が少ないのに、釣りなんかしてると死に絶えるよ!
伽竹桃:だって暇じゃん。
寧々:なら灯篭を飾ってくださいよ。町内会からもらって四五日経ったけどまだ全然飾ってないじゃないですか。
安々:そうだそうだ。
伽竹桃:ったく、自分たちはサボってるくせに、私にやらせるのか。
夭夭閣は内城で新しくオープンしたばかりの酒場であり、あまり知名度がない。お客さんと呼べるのも、この賑やかさを気に入ってる二三匹の猫だけだった。
客甲:大人は子供を漕ぎ使うべきではないのだ!
客乙:そうだそうだ!
伽竹桃:うるさいな、飯でも食ってろ!
女将さんは憤った。いつか絶対こいつらの飯を激辛にしてやる。
《バサレウス》脚本・二十
52 夭夭閣入口 昼 外
左側の灯篭をすべて飾り終えた伽竹桃は梯子を右のほうに持っていくと、やや大きい赤い灯篭を持ってゆっくりと登っていく。
客甲:ごちそうさんよ、女将さん。
客乙:灯篭飾ったらほら、綺麗じゃないか。
伽竹桃:うるさいなぁ。
まだ食事の時間ではなく客も来ていないため、急いで戻る必要はなさそうだ。女将さんはそのまま梯子の上にしばらく座っていた。ここから見える景色は実によく、太陽の移ろいと雲に隠れた山々が眼中に収まる。しかしどこを見ても、空はまるで墨によって覆われているかのように黒い流体に満ちていた。
伽竹桃:あれが宇宙との通信を邪魔しているのか。
鳩:スーパーパンダ、何を見てるの?
伽竹桃:お前——
いきなりのあいさつに伽竹桃が驚いて、踏み外して梯子から墜落した。幸い身のこなしが軽く、彼女はすぐさま前転をして綺麗に着地した。そしてぎょとんとしている鳩を見ると、心配するべきか説教するべきかわからなかった。
伽竹桃:何で来たんだ、今町中で指名手配が出てるぞ、お前(ジノが視界に入った)——たちの。
ジノ:俺?
53 夭夭閣二階宴会場 昼 室内
伽竹桃:説明している暇はない。とりあえずここにいろ、絶対外に出るな。
鳩:物、持ってきたよ。
伽竹桃:それはどうも。
ジノ:それで、一体どういう状況なんだ?
伽竹桃:知りたいかい?教えてあげなーーい!
言い終わると伽竹桃は部屋から出てってドアを閉め、ジノに話す隙を与えなかった。
《バサレウス》脚本・二十一
54 夭夭閣一階ホール 夕暮れ 室内
時間が遅くなるにつれ、酒場はますます賑やかになってきた。指名手配の写真を持って巡回している機械兵士は手当たり次第に二人に関する目撃情報を尋ね、やがて夭夭閣にやってきた。
スーパーパンダは耳を澄ませて、ホールにいる客人たちの喋りを盗み聞きした。「あの二人何をやらかしたんだ?」「今日外城で起きた惨劇、聞いたか?あいつらがやったんだ、反社会勢力だ。」スーパーパンダは実に心もとなく、ひたすらお茶を飲み続けた。
伽竹桃:どうしよう、これじゃ共犯者扱いされるじゃないか。なんであの二人が一緒にいるんだ!密輸なんてやらなければよかった。今から母星に助けを求めても間に合うかな……
安々:女将さん、どうしたんだ?
寧々:これは、またお腹を壊したに違いない。
安々:まさか、また生の笹を食べたんじゃ?!
寧々:ありえる。
安々:ダメだよ、この星の笹には毒がるんだ!しっかりしてよ女将さん!
また、ホールからの声が聞こえてきた。「写真のこの場所、具体的にはどこだ?」「九仙通りだって、あの治安が悪いところだ。」「あそこか、じゃあいいことをしたんじゃないか。」
伽竹桃:黙って、考えを思いついたんだ!
足元にいる安々をどかせると、女将さんは何か決心したように勢いよく立ち上がり、二階の方に向かった。
55 夭夭閣二階宴会場 夕暮れ 室内
二人は座ってジノが注いだお茶を飲んでいる。
ジノ:あの耳は本物なのか?
鳩:そうよ、スーパーパンダは宇宙人なんだ。
ジノ:(硬直して)ここはどこ、今は何年だ?
ドアが開くと、スーパーパンダが急須を持って登場した。
伽竹桃:ここは惑星カメリア、宇宙探索に熱狂していた時代から一万年過ぎている。(急須で直でお茶を飲んで)お前はユーエじゃないんだな、あいつはこんなバカげた質問をしてこないさ。
ジノ:ユーエのことを知っているのか?
鳩:(補足説明)防衛軍が宇宙からの来客を出迎えたの、私とユーエもその場にいた。
伽竹桃:(急須を机上に叩きつける)そろそろまとめに入ろう、少し助けが欲しいところでしょ。
スーパーパンダは木の彫刻でできた壁画をノックすると、画中の線に沿って隠し扉がゆっくり開いた。
《バサレウス》脚本・二十二
56 夭夭閣隠れ家 夜 室内
暗い部屋の中、三名の会議参加者はスポットライトを浴びている。進行を務める伽竹桃は両手を合わせ、長い語り出しで一問一答を開始する。
伽竹桃:ジノ、お前の存在は常理に背いている。普通、現任の遊星が死亡した後に新しいコピーがダウンロードされるのだ。Zが言った通り、お前には特別な使命があるのかもしれない。
司会は一丁の回転式拳銃を取り出すと、極めて重要な一発の銃弾をこめた。その表面には、白いハスの模様が刻まれていた。
伽竹桃:おそらく、お前はユーエの脳の記憶を読み取れるんだ。試したことはあるか?
ジノ:鳩とユーエについての記憶を見たことがあるが、それはユーエの記憶じゃないと思う。何というか、第三者の視点から見ていた感じだ。
伽竹桃:これは面白い現象だ。
拳銃は娘の手に渡った。彼女は躊躇もせずにジノの眉間に狙いを定める。
鳩:あんたは私のことを鳩と呼んでるが、私は他人にこの名前について話した覚えがない。
ジノ:それは……
57 テストコース 昼 外 追憶
場面21、映像がますます明晰になる。
鳩:私の名前は鳩、これはもっかいの初めましてになるかな?
58 夭夭閣隠れ家 夜 室内
ジノ:記憶の中で、君はそう言っていた。
鳩:そう、分かったわ(銃を下す)
司会は急須から茶滓を出して、それを山分けにした。
伽竹桃:お前たちの計画ではまず内城に潜入して、ジノが軍隊に復帰して防衛軍から情報を盗み取る。そして鳩は保存場所に突入して、バサレウスを奪う。間違いないかね?
鳩:そのはずだったが、まさかユーエを指名手配するとは。
伽竹桃:(間を開けて)衛星がどこに落ちるか知ってる?
鳩:(急須を受け取って)内城、西沙区の東南方面。推測被災面積はおよそ半径15キロ。
伽竹桃:政府と防衛軍の本部は全部あのあたりにある。
それを聞いたジノの脳内に一つ恐ろしい推測が浮かび上がり、彼は眉をひそめた。
ジノ:何景。
《バサレウス》脚本・二十三
59 実験室の廊下 昼 室内
遊星は防衛軍司令部の人たちに招集をかけた。副官は二コラと共に向かっている途中、自分のスマホが鳴ったことに気づく。
副官:ジノの目撃情報が入りました。
二コラ:見せてくれ。
副官:これが目撃現場の写真です、彼は九仙通りの人たちと行動を共にしているようです。裏切りか脅かされたかはわかりませんが、今すぐユーエに対する指名手配を出すべきです。
二コラはいったん足を止めた。
二コラ:それは奇遇だね。(振り返って)君に任せる、俺は一人で市長のところに行く。
指名手配についての回答はなかった。
二コラ:何か問題でも?
副官:いいえ、すぐ向かいます。
60 データ観測室 昼 室内
革のオフィスチェアに座っている遊星は相変わらず衛星の動向を監視している。そのペンを握っている手は動き続け、既に十枚の紙をデータと計算式で埋め尽くしていた。一見計算に全身全霊をかけているが、周りの気配も察知しているようだ。二コラが隣に来ると、彼はすぐさま命令を出した。
遊星:西沙区に避難指示を、それとすぐに新しい衛星を活性化させるプログラムを用意しろ。
二コラ:しかしバサレウスの権限は……
遊星:既に時間が無くなっている。(ペンを置く)新しく来た副官はどうだ?
二コラ:心強い助手だが、少々落ち着きが欠けていますね。
遊星:九仙通りの事故、それとすぐに起こるであろう西沙区への襲撃。これらは彼女の誤った命令が引き起こしたことだと、メディアにはそう伝えておけ。
二コラ:市長、それは——
遊星:彼女は何者か、お前もよくわかっているはずだ。
《バサレウス》脚本・二十四
61 西門大通り 夜 外
何景は夭夭閣がある通りに来ている。ヘルメットを被った彼女はここのすべてを静かに観察している。街中に飾られている赤い灯篭、それはまるで魑魅魍魎、自分たちを監視しているようだと彼女は感じた。
副官:最新の目撃情報からすればあの二人はこの近くに身を隠している。手当たり次第に探せ、何一つ手がかりを漏らすな。
兵士たちの返事を、しかし何景はもう聞いていなかった。彼女は人の群に紛れて蓮渡に電話をかけた。
副官:二コラは私を疑っている。
蓮渡:今回はやりすぎたな。
副官:彼はなぜユーエが裏切っていないと言い切れる?バサレウスが原因なのか?
蓮渡:(ムカついて)どいつもこいつも俺に聞きやがって。俺がもしこんなことまで知っていたら、占い師になった方が儲かるだろうが。
何景は考え込んだ。あの夏の数々の思い出が脳内に蘇る。
62 九仙通りの川辺 昼 外 追憶
幼い蓮渡:母さんが言ってたんだ、あのロボットはここの建物よりもずっと高いんだって。
満ち潮の川辺、女児は葦を一本折り、それを持って岸の付近に集まっているオタマジャクシとじゃれあっていた。
幼いユーエ:情報が古いな、俺のお父さんは九仙通りの代表で、市長に花を捧げる人なんだ!
幼い蓮渡:偉そうにして、くじ引きで決めた代表じゃないか。
幼いユーエ:ほら、運も実力の一部ってよく言うだろ?
男子たちが争う声はだんだん近づいている。女児は彼らの観点に賛同できず、固く口を閉じていた。ついに趣もなくなり、彼女は折れた葦を川の中に捨てた。オタマジャクシたちもこれに驚かれて四方八方へと逃げていく。
幼い何景:あれは兵器だ、君たちは美化しすぎている。
幼いユーエ:何を言ってるんだ、バサレウスは文明の象徴だぞ!
幼い蓮渡:どこから来たガキだよ、ロボットが見れるのがそんなに羨ましいか?
幼い何景:羨ましくない、バサレウスは私たちの区にも行ったわ。
幼い連渡:お前がちびっ子で見えなかっただろ。見た人は絶対そう言わない!
幼い何景:わ、私は...もう、このバカども!
幼いユーエ:うわ、逃げたぞ。
幼い蓮渡:だっさ。
すると何景は水に浸った土で泥団子を作って九仙通りの子供たちに投げつけた。九仙通りの子たちも同じようにやり返し、瞬く間に争いが始まった。どうやら泥団子だけでは足りなかったようで、距離が縮まっていくのにつれて争いは白兵戦に変わり、そして最後はもう敵も味方も関係なく三人でやりあってしまった。打
どうやって争いが止んだのか何景は覚えていない。もしかしたらみんな疲れてしまい、地に倒れたのかもしれない。ユーエだけはまだ少し気力が残っていたようで、大声で叫んだ。
幼いユーエ:(叫んで)俺の勝ちだ!
これは彼の命の叫びとなった。ユーエは叫んだ後びくとも動かなくなり、女児は指を彼の鼻にあてても、何も感じられなかった。
幼い何景:うそ、息していない——
幼い蓮渡:ユーエ?ユーエ!
子供たちの声の残響:ユーエ……ユーエ……ユーエ……
63 西門大通り 夜 外
何道人:彼を見つけ出して、問いただしてやるわ。
蓮渡:ちょっと、落ち着いて——
何景は電話を切った。
《バサレウス》脚本・二十五
64 夭夭閣隠れ家 夜 室内
鳩:指名手配はさほど問題じゃない、大事なのはバサレウスを見つけること。
巡り巡ったカメラは伽竹桃の前で止まる。
伽竹桃:しかしどこで、どうやって探すんだ?
質問を投げ出すと同時に、彼女は空気でできた疑問の玉を投げた。
ジノ:(キャッチして)防衛軍の乗り物庫。
今度は空気のダーツが射出され、カメラは地図上の防衛軍本部を映す。
鳩:(空気の虫眼鏡を覗く様子)なんで?
ジノ:奥から二番目のシャッターを覆った布にキツネの目が描かれていた。何景はマークだと言っていた。(空気眼鏡を正す)
伽竹桃:罠?(頭を傾げて、両腕でXを作る)
鳩:何のための?(一本の指を顔に当てる)
ジノ:(紐を引いて明かりをつける)何のためでもない。
室内がようやく明るくなる。
ジノ:動機、及び計画の実施は、我々とは関係のないことだ。
伽竹桃:それじゃ早速、出発だ!
彼女はすでにカーテンの真ん中に立ち、最後の枷を外した。風が全ての邪魔を吹き飛ばすのでしょう。
65 夭夭閣隠れ家 夜 外
部屋の一面の壁が降下して出口を作った。カメリアの夜、骨を刺す寒風、しかし三人の心にある炎が消えることはなかった。
スズメバチの形をした水陸両用飛行装置、腹部にある弾薬庫には追跡ミサイルが8発搭載されている。機械の振動による波形攻撃も可能で、ターゲットの内部構造を壊すことができる。まるで本物のスズメバチのように、それは翼を振動させて平衡を保っている。強い風が隠れ家の中に吹き込み、室内の飾りを吹き散らした。三人は壁や地面に縋り付きながら叫んで対話する。
伽竹桃:スズメバチ七型、識別番号53。三日前陥落の湖で行方不明になっているもので、防衛軍はまだこいつを捜索している。しばらく借りてあげよう!
ジノ:どうやって引き上げたんだ?
伽竹桃:私の星の技術だ、言ってもお前にはわからん!
鳩:引き換えの条件は?
伽竹桃:この星を包む帳を吹き飛ばして。できるか?
鳩は頷いて操縦席に飛び込んだ。
ジノ:待って!
伽竹桃:お前は行くな、危険すぎる!
鳩はヘッドホンをつけると、ジノの方を見た。なぜか心の中にいっぱい話したいことがある気がしたが、声を遮る風を頼って最後のお別れを告げるしかなかった。
鳩の口の形:(さようなら、ジノ)
《バサレウス》脚本・二十六
66 テストコース 昼 外 追憶
遊星は椅子に座りながらバサレウスを眺めていた。その手は、いつものように万年筆を握っていた。
遊星:それ以来、バサレウスに入った人は?
二コラ:儀式当日を除いて、入った人はいません。
遊星:僕は君を疑っているわけではない。(ペンを回して)しかし動力源がなくなったのは確かだ。
二コラ:今全力で調査中です。
遊星:連中の僕に対する敵意は凄まじいものだ。前任の遊星は誰だ?
二コラ:ジノという名の老人です。そのモデルは宇宙史上でも有名な通信技術の専門家です。
遊星:あの人か、なら不思議ではあるまい。(冷笑)
67 実験室の廊下 昼 室内 追憶
鳩を中心に据えた一人称視点。カメラの高さは鳩の首当たり。
ユーエ:心臓の調子は?
鳩:良好だ、拒絶反応も起きていない。
ユーエ:念のために検査はしましよう。
二コラ:(遠くからやってきて)今大丈夫かな?
鳩:ユーエが身体検査をするって。
二コラ:(不思議な顔をして)そう急ぐことでもないだろう。バサレウスの動力源が消えたんだ。蘇音、カギで感知してみることはできないか?
鳩:あ、それならここにあるよ。(胸を叩く)
ユーエ:その、儀式の日に彼女の人工心臓が壊れてしまって。取り急ぎこれで何とかしたんだ。
二コラ:入れ替えるのにどれくらいかかるんだ?
ユーエ:今は使えるものがないさ。作っても半年はかかる。
二コラ:君たちは——(カメラを見て)いつも面倒なことを。
68 テストコース 昼 外 追憶
場面66。
遊星:宇宙史か。どうやって知ったんだ?
二コラ:三年前、とある宇宙人がカメリアに緊急着陸しまして。
遊星:宇宙人?(笑)この星域に宇宙人なんていないさ。そういえば、カメリアは人類の宇宙探索の一歩目だったね。
カメラは、遊星が向いている平原を映す。
《バサレウス》脚本・二十七
69 テストコース1万年前 昼 外 過去
1万年前のこの平原に、先遣隊の飛行船が着陸した。
新式の宇宙服を着た3人の人間が飛行船から降りてくる。腕の部分にあるモニターの大気測定ボタンを推すと、すぐに「呼吸可能」というメッセージが示された。隊員たちはヘルメットを外した。その中、ひとりの茶色の髪の中年女性が遠くの方を眺めていた。丘の上の小さな木、その枝に赤い花が咲いている。
母:そちらに行ってみよう。
70 テストコース1万年前の丘 昼 外 過去
咲き誇る花の群を歩いてもモニターは危険だと示さなかったため、母は大胆に一つ花を摘まんだ。観察しながら鼻に近づけると、それはツバキの香りをしていた。
母:葉、茎、そして花。全てが地球のツバキと似ているね。
隊員甲:これは偶然ですか?それとも何かの兆しでしょうか?
母:それは、成分を分析してみないとわからないわね。
隊員甲:報告書にはどう書きます?
隊員乙:いっそのこと、ここをカメリアと名づけません?
母:ツバキの花か、悪くない。空にいるメンバーの意見も尋ねてみよう。
そして、隊員たちは空中のメンバーとの通信を試みた。
少しして、悲惨な叫び声がボイスメールとして再生された。
飛行士甲:あああああああ、ツバキだ——ツバキだらけだ!
《バサレウス》脚本・二十八
71 データスキャン用飛行機 昼 室内 過去
飛行機通信、カメラの視点。
飛行士甲:異常なし、着陸区域クリア。
72 データスキャン用飛行機 昼 外 過去
第五世代の戦闘機と同等なスペックを持ち、惑星内での飛行任務に使われる飛行機。今通信しているのは任務をこなす三機のうちの一機であり、邪魔な雲がないため三機は一列となって毎時1万平方キロメートルのスピードで地面をスキャンしている。
飛行士甲:つまらないものだ。この天気だと半日のうちにデータ収集が終わる。
73 データスキャン用飛行機 昼 室内 過去
通信チャンネルからチームメンバーの声が聞こえてくる。
飛行士乙:気を緩めるなよ、飛行船が収集した天気情報が正しいとは限らない。
飛行士甲:お前が真面目過ぎ——
飛行士丙:1号、前を見ろ!異常事態だ!
74 ツバキ雲 昼 外 過去
任務をこなしている飛行チームの航路上で血のように赤い雲が拡張し続け、やがて三機の飛行機を飲み込んだ。カメラがズームすると、その雲の全容が写った。それは形がツバキの花に似た三次元のマンデルブロ集合、ツバキの外縁からまた新たなツバキが生まれて拡張するが、全体と局部で終始自己相似を保っている。それはやがて最小の分子構造、赤い灯篭みたいな閉合した立体まで縮小した。
75 飛行船内会議室 昼 室内 過去
ツバキ雲を収録した映像が流れた後、カメラはだんだん遠ざかって会議室の円卓全体を収める。会議に参加しているのは8人、全員各班の代表である。物理学者が立ち上がり、タブレットで観測報告をスクリーンに共有した。
物理学者:今のところ確認できているのは、惑星カメリアの大気はツバキ素という名の物質で満たされていることです。この物質は地表の近くでは危険性がありませんが、八千から一万メートル上空の低気圧環境だと映像が捉えたような構造に変化してしまいます。このような構造は対流層及び成層圏の至る所に分布しており、大気の流れに乗って拡散し続けています。その影響を受け、現在我々が持つ飛行装置を長距離飛行させる事が困難であり、更には宇宙との通信も不安定な状況です。今週はまだ風力が弱い方ですが、新しい予測モデルに従いますと、来週からは通信が完全に遮断されてしまいます。飛行船で大気圏外へ出ないと地球本部との連絡が取れません。
船長:この状況はいつまで続く?
物理学者:少なくとも、来年のこの時期までは。
《バサレウス》脚本・二十九
76 テストコース1万年前の丘 昼 外 過去
ひとりで丘の小道を歩いている母に、隊員乙が後方から追いついた。
隊員乙:新たな採集結果でも、やはり新成分は検出できませんでした。
母:最初の案で行くのか。
隊員乙:チームのみんなは先に地上にあるツバキの木を処理して、元を断つつもりです。
母:でも、大気中のは——。
隊員乙:宇宙機で収集するには一、二万年はかかってしまいます。先遣隊にはまだ4つの予備惑星があるため、上層部はカメリアにあまり資源を投入したくないようです。
母:(空を見つめて)捨てられたってわけか。
77 テストコース9700年前 夜 外 過去
300年後。
とある静かな夜、廃棄されて錆びついた先遣隊の飛行船は新たな客人を迎えた。バサレウスは隕石の如く空から下降し、着陸の噴射が草を焼き焦がして地面に4つの穴を残した。外骨格ロボットをつけたパイロットはバサレウスの操縦席から飛び降りて、レーザー銃で飛行船に穴をあけて中に入った。
現地の住民たちは集結して懐中電灯を持ちながらテストコースに向かった。警戒しながら進んでいる中、先頭の中年男性は地面の穴を確認して泥の足跡をたどり、動物形態のバサレウスの前までやってきた。懐中電灯が機械装甲の頭部を照らした瞬間、住民たちは恐れて叫びながら逃げていった。
住民甲:うあ!
住民乙:バ、バケモノだ!
住民丙:助けて!
すると、飛行船の方から声が聞こえた。
遊星:おい、何事だ?
住民たちは更に足を速めた。取り残された中年男性はその場に立ち尽くしたまま。
中年男性:ロボット!あ……あ。
遊星:(見下ろして)あ、お前がリーダーなのか?
中年男性:(冷静を取り繕って)あなたは。
遊星:今日からここは僕の管轄だ。遊星と呼んでくれ。
《バサレウス》脚本・三十
78 防衛軍乗り物庫 夜 室内
スズメバチ七型飛行装置が着陸し、防衛軍の制服を身に纏った鳩は容易く乗り物庫に侵入した。出迎えたグランドスタッフは下を向いて作業しているが、遠くで降着装置を点検している人がこっちを見て誰かと内部通話を繋いだ。
グランドスタッフ:間違いありません、実験体Zです。
副官:彼女は一人で?
グランドスタッフ:そのようです。
副官:分かった、ありがとう。
79 西門大通り 夜 外
何景は通話を切ると、再び集合した兵士たちに指示を出した。
副官:直ちに夭夭閣に向かえ!
80 夭夭閣隠れ家 夜 室内
壁が元に戻り、室内には伽竹桃とジノの二人が残された。
ジノ:何で止めたんだ?
伽竹桃:意識サンプルでしかないお前が行ってどうする?
ジノ:何か役に立てるかもしれない。
伽竹桃:かもしれない、ねぇ。(怒りを抑えて)知らないと思うが、他人の体を乗っ取ることは宇宙法で禁止されているのよ。お前を人形に移してやる前にはどこにも行かせないからな。
ジノ:人形!それって今すぐできるのか?ちょっと出歩きたいんだ。
伽竹桃:ったくめんどくさいなぁ、少し待ってろ。
伽竹桃があっちこっち人形を探し回っているところ、隠れ家のドアが開いた。
安々:女将さん、防衛軍の奴らが来たよ!
81 夭夭閣入口 夜 室内
寧々:(両腕を伸ばして)ここは大使館、武器を持った者は入れません!
兵士一:お嬢ちゃんすごいね。
兵士一は口説いて寧々に道を開けてもらおうとしたが、急所を狙った連続攻撃を食らってしまい地面に倒れ込んだ。
寧々:(構えて)まもなく姉さんが女将さんを連れてきます。そっちのリーダーは?出てきてもらいましょうか?
何景:(兵士たちを通り抜けて)ユーエを帰してちょうだい。
寧々:は、誰なんですか?
何景:(刀を抜いて)知らないとは言わせないよ。
時間が止まったように感じてしまう。二人は今、一触即発の状態にある。
伽竹桃:(駆け付けて)そこまでだ!お前が探しているのはこいつだよな!
女将さんに両手で放り出された男性の体は、何景の目の前の地面に落ちた。それは生命兆候をなくして間もないユーエの体、命の温もりこそ失ったがまだ硬直していない。何景はユーエの右手を持ち上げて確認した、そこにある懐かしい古傷に心が痛む。
何景:あんたが殺したのか。
伽竹桃:そうとも。何、指名手配犯でも生きて捉えろと?
何景:償ってもらうわよ!
伽竹桃:(二丁拳銃を抜いて)やれるもんならやってみろ!
《バサレウス》脚本・三十一
82 防衛軍乗り物庫バサレウス倉 夜 室内
鳩はキツネの目が描かれてある帆布の前に立っている。シャッターはなぜか開けられていた。彼女が布の下側から中に入って真っ先に見えたのは男性の革靴、その次が人型のバサレウスだった。
遊星:おかえり。(振り返る)
鳩:これを連れていくよ。
遊星:君は衛星が墜落するのを止めに来た、と認識していいのかな?
鳩:そうよ。
鳩は遊星を通り抜け、止まることなくまっすぐバサレウスに向かって歩いていく。
遊星:僕は君を止めない。しかしこれからも、君は惑星カメリアの指名手配犯であることに変わりはない。
鳩:好きにして、どうせ私にはあんたの(口調を強めて)偉大なる計画が理解できないから。
遊星:実験体Z、君は自分の才能を無駄にした。
鳩:才能は自分が楽しく生きられるためのものよ。
83 孤児院 夜 外 追憶
とある年の紅灯祭、4歳の鳩は窓辺からちょこんと頭を出して、遠方のやさしくて魅惑的な赤い光を見つめていた。やがてその光に惹かれた彼女はベッドの下から布の靴を取り出し、それを履いてパジャマのまま駆け出した。孤児院の周りにはフェンスがあるものの、身の細い4歳児が抜け出すことは防げなかった。そのまま鳩は坂を下って街の方に向かった。
84 西門大通りの一角にある劇場 夜 外 追憶
城門を抜けて数歩走ったところで見かけた興行師たちに、鳩は目を奪われた。
そこには4人の興行師がいた。がたいがいい男は猫に火の輪っかをくぐらせ、その隣にいる兄妹の二人はペアリフトを披露、そしてあと一人のピエロはボールに乗って4つの球でジャグリングをしていた。
鳩はそれに見惚れていたが、急に何人かの商人が荷車を推しながら素早く興行師たちの前を通り過ぎた。それに驚かれたピエロは2つの球を落としそうになるが、地に落ちる前に鳩がそれを受け止め、そして自分で球を投げ始めた。
商人:管理者たちが来たぞ。露店は許されていない、早く逃げるんだ!
商人たちはだんだん遠くに逃げていく。これを聞いた魔術師も鳩を連れて自分たちの荷車に乗った。
《バサレウス》脚本・三十二
85 田舎の小道 夜 外 追憶
魔術師と鳩は荷車の後方に座っている。
魔術師:お嬢ちゃん、君には才能があると見た。私と共に魔術を学ばないか?
鳩:いいよ、楽しそうだし。
魔術師:享楽主義!
鳩:何言ってるのか分かんない!へへ!
魔術師は怒ったような表情をして鳩を痒みの刑にかけ、鳩は堪えずげらげらと笑い出す。田舎の道はとても平坦とは言えないものばかり、揺れる荷車に乗っていると遠くの赤い灯までがゆらゆらしているように見える。
86 夭夭閣入口 夜 外
夭夭閣での戦闘はすでに終わっていた。双方は10メートルほどの距離を開けて、何景は刀で地面を突いて体を支えている。一方の伽竹桃も力尽きたようで、地面に這いつくばって大きく息を吸っている。どちら側もたくさんの人が倒れていた。寧々と安々は片方が地面に倒れ込み、もう片方は街灯に吊っていた。兵士たちもバラバラに道の両側に倒れて車の通り道を塞いでしまっている。通りごとが今、静まり返っている。
伽竹桃:お前、こんなんじゃ人を殺せないぞ。
副官:そっちこそ、まさかのゴム弾とは、実に滑稽よ。ここまでにしておこうか。
伽竹桃:お前が探している人はもういないんだ、とっくに知っていただろ。
副官:(息を吸って)私はユーエとは違う。信仰なんてない、私はただ生き延びたいだけだ。
伽竹桃:(起き上がって)そっか、お前はそれを態度で示していたのか。
副官:そうさ。それに、そろそろ時間よ。
西南方向、天を貫く光の柱が宇宙を突き破る。
87 バサレウス出撃 夜 外
関節と頭部から白い煙を放つバサレウスは、まるで雲の中から現れた神霊のようだった。
88 バサレウス操縦席 夜 室内
鳩はパネルに示されている様々な数値を見回す。今の速度では重力から脱出できない、そう判断した彼女は加速ボタンのカバーを開けて力強くボタンを叩いた。
パネルの上に3行の文字が表示される:
テラバイトコネクション
準備完了
加速モードに移行
《バサレウス》脚本・三十三
89 バサレウス出撃 夜-宇宙 外
音速、第一宇宙速度、第二宇宙速度を次々と突破していく。
やがてソニックブームを起こして、捉えられないほどのスピードとなる。
震盪、燃焼、そして静寂。
目標地点に到達し、待機。
90 バサレウス操縦席 宇宙 室内
操縦席から、高速でバサレウスに近づいてくる衛星がはっきり見える。鳩は右手付近にある操縦レバーを推す。
91 バサレウス 宇宙 外
機械装甲は両腕で防御態勢を取りながら、キツネの尻尾を前に出して後方にある推進装置を作動させた。
92 バサレウス操縦席 宇宙 室内
鳩:(息を吸って)三、二、一。
93 バサレウス 宇宙 外
バサレウスが衛星と衝突。
バサレウスの推進力が向上中!
バサレウスの推進力が限界値に達した!
94 バサレウス操縦席 宇宙 室内
鳩:終わらせる時が来た——
95 テストコース 夜 外
テストコースの敷地の一角に小さな低いツバキの森がある。今は冬にもかかわらず、ここでは花が咲き乱れている。
96 テストコースの林間墓地 夜 外
惑星カメリアに残された最後のツバキの下に変わった形の石碑が立っている。そこに祀られている先遣隊の紋章に、地球の言語で部隊の名前が書かれている——カメリア。
ジノは石碑の前で長らく立っていた。今の彼は麦わら帽子を被った、黄色いシャツを身に纏っている顔のないプラスチック製の人形。喋ることも、涙を流すこともできない。
遊星:そう、ここが君の母親の最期の地。彼らはカメリアを選ばなかった。
遊星:既に君のすべての意識サンプルを破壊したと思いきや、機械装甲の中に一つ残っていたとはね。
ジノが振り向いて見えたものは、自分の眉間に向けられた漆黒の銃口だった。
遊星:そろそろ終わらせようか、ジノ。
《バサレウス》脚本・三十四
97 バサレウス 宇宙 外
人工衛星は元の軌道よりも更に遠くの軌道に押し返され、その衝撃で外殻が破損し通信機能を失った。任務を成し遂げた鳩は惑星の大気圏内に戻り、勢いに乗って飛行し続ける。
伽竹桃が言っていた帳、それはツバキ素の最終連結手段だった。今のツバキ雲は昔と比べて遥かに薄くなっている、大きく引き裂いて巨大な穴を作れば、帳は自然に消えるだろう。
鳩は内層に突入して、バサレウス背部から8発の分裂ミサイルを発射させた。8、64、512発とミサイルが分裂し、爆音とともにカメリアを覆う帳が上がる。
98 テストコースの林間墓地 夜 外
ツバキとナイチンゲール、そして地面に転がっている人形のみがここに残されている。
ジノは本当に眠ってしまったのか。彼の表情を窺えない、もっとも彼には表情がないのだ。
この瞬間、カメラが捉えた世界はまるで静止画のようで、全てが静寂に飲み込まれている。
バサレウスがやってきた。予定位置に着陸できる動力が残っていなかったため、この森に間違って入ってきたのだ。
鳩は操縦席から地面に飛び降りて、ここを去ろうとした。しかしその時、しばらく消えていた何かと繋がっている感覚を感じ取った彼女は踏みとどまった。
ジノ:鳩、俺はここに……
ゆっくりと振り向いた彼女の視界に入ったのは、地面に転がっている人形だった。
鳩:ジノ?